だが、強制出勤である。


 頭の中は眠ったままでも、通勤する。


 その日も午前八時二十分には、警視庁本部庁舎へと着く。


 そして先に来ていた橋村に挨拶した。


「おはよう、橋村君。……早いね」


「ええ。最近、あの事件のことが頭から離れませんので。夜も寝てられません」


「あまり無理するなよ。……まあ、俺だって、六時間ぐらいしか眠れてないからな」


 そう言って、デスクに就く。


 パソコンを立ち上げ、ドキュメントの画面を開いて、庶務の書類が入っているフォルダーをダブルクリックした。


 開いて見始める。


 キーを叩き、課内庶務を始めた。


 いろんな文書を作りながら、改めて警察官の地味な仕事ぶりを思う。