辺り一帯を探っていると、意外な人間が立っていた。


 つい、呼んでしまう。


「田村刑事部長」


「ああ、梶間君。それに橋村君も」


「なぜここに?」


「いや、吉村君が君たちを嫌がってるみたいだから、どんな現場なのか見に来た」


 田村がそう言い、その後、軽く息をついて、


「何か門島さんのこと、思い出すね」


 と言葉を重ねる。


「ええ。純朴なデカでしたからね。現場百遍なんて何度言われたか……」


 そう返し、三人で揃って歩いていく。


 田村が、


「俺も刑事部長なんて言われたって、所詮椅子に座ってるだけだからな。南新宿の殺しのヤマは