「…おまえなぁ、遠慮ということを知れよ。人の彼女だぞ?」 郁也は呆れたように言う。 「俺の辞書には遠慮と諦めと常識はないんです。」 「……常識は書き足せ、今すぐ。」 面白い子だなぁ、本当に。 きっと誰とでもすぐ打ち解けられる性格なんだろうな。 少し羨ましいや。 「先輩、俺と一緒に帰りましょうよ。」 「は?俺と一緒に帰ってんだろ、身の程を知れ。」 「やだなぁ、知ってますよそれくらい。なんだって俺は先輩の未来の旦那ですからね!」 このふたりを見てるとなんだか笑えてくる。