すると、ジャスミンさんは何かを思い付いたように、ぱんっと手を叩く。


「そうだ、これからあなたのこと“ホワイト”って呼ぶわ! どう?ホワイトちゃん。かーわーいぃ~♪」

「あは……す、素敵ですね……!」


いつでもここで働けそうな名前だな、なんて思いながら、とりあえず笑っておく。

ルンルンと上機嫌で私に源氏名を付けたジャスミンさんは、少しテンションを落ち着かせて再び話し出す。


「話を戻すと、仮の名前だけどミキさんの時には、夏輝ちゃんは指一本触れてなかったし、プライベートな表情も見せてなかったと思うの。だから、ホワイトちゃんには十分勝算があるはずよ!」


可愛らしくガッツポーズをする彼女。

たしかに頭を撫でられたりはしたけど、あれは私が泣いていたからだし、どれが夏輝さんのプライベートな表情だったのかも、私にはわからないから何とも言えないな……ていうか。


「いや、私決して彼を好きなわけじゃないですから」


さっきからいろいろと誤解しているようなので、そこはハッキリ伝えておく。けれど。


「本当にー? でも気になるんでしょう?」


片眉を上げるジャスミンさんは、あまり信じていないようだ。

彼女の言う通り、気になるのは確かだけれど……。


「素性がわからなさすぎるから気になるだけで、恋愛感情ではないです」


意見を変えない私に、ジャスミンさんは腕を組んでひとつ息を吐いた。