「夏輝ちゃんがここに連れてきた女性は、あなたが二人目よ」

「え……なんか意外」

「ま、あれでモテないってことはないだろうから、他の店に連れていってるのかもしれないけどね」


ちょっぴり刺々しい口調になるジャスミンさんに苦笑い。

でも、たしかに本命の女性なら、もっと静かでムードのいい所に連れていくか……なんて失礼なこと、口が裂けても言えないけど。

腕を組んだ彼女は、名探偵さながらの推理をし始める。


「一人目の女性は大人っぽい美人でね、真面目な話をしてるような感じだったから、仕事関係の人かなって思ってる。その人かはわからないけど、“ミキ”って名前を度々呼んでたわね」

「“ミキ”……」


頭の中で大人っぽい美人の女性を勝手に想像し、その人を仮でミキさんと名付けていると、台に片手をついたジャスミンさんが私に笑いかける。


「そういえば、あなたの名前は?」


そう言われて、まだ名乗ってもいなかったことを思い出し、私は姿勢を正す。


「あっ、すみません。真白美玲といいます」

「あーら、なんて綺麗な名前! 素敵ね。アタシ、色は白が一番好きだし~」


白いジャスミンの花に囲まれる彼女は、両手を合わせてニッコニコしている。

なんだか私も単純に嬉しくなった。