すると、奥から勢い良く姿を現したジャスミンさんが、お父さん達が座るソファー席と私達との間に飛び出た。

そして、とびきり明るい表情で声高らかに言う。


「マシロの皆さんに朗報よ! 前に美玲ちゃんがここで声を掛けたお客さんから、今連絡があったの。マシロの商品を使うように会社で検討してるから、店長さんとお話したいって!」


一瞬静まり返った私達は、一斉にわぁっと歓喜の声を上げた。

うそ、やったぁ! 声を掛けてよかった……!

阿部さん、浜名さんと喜ぶけれど、お父さんは「本当かい?」と半信半疑で目を丸くしている。

それでも詳しいことをジャスミンさんと話し始めると、お父さんは次第に生き生きと瞳を輝かせていた。


取引が決まったわけではないけれど、今の私達にとっては少しのチャンスが与えられるだけでも嬉しい。

席に戻ってきた陽介と由香も喜んでくれて、気分が上昇していく。でもやっぱり……。


「よかったな。美玲の手柄だぞ」


こうやって夏輝さんが頭を撫でて褒めてくれると、喜びもひとしおだ。

これからも、何があっても諦めないで頑張れば、未来はきっと明るくなる。

今そう思えるのは、腹黒くても情に熱い彼のおかげ。


感謝を込めて大好きな人に笑顔を返すと、どこからか乾杯の声が掛かる。

お客さん皆が一体となって、グラスを合わせる音と笑い声が、ブライズに響き渡っていた。