真白美玲──その名前がよく似合う、色白で綺麗な顔立ち、そして凛とした雰囲気が漂う女性。

彼女の存在はだいぶ前から知っていたが、初めて見たのはラッピングを頼みに来た時よりも少し前だ。

遠目で顔を確認するくらいだったが、なんだか懐かしいような、優しくて温かな感情を抱いた。

その理由は、きっと俺にしか理解出来ないものだろう。


実際に会い勤務態度を見て、俺のある魂胆を実行することに決めた。

美玲ちゃんの誕生日に食事に誘ったのは、その企みの一部でもあり、ただ純粋に話をしたかったからでもある。

彼女にはなんとなく惹かれるものがあって、単純にもっと彼女のことを知りたいと思ったから。

まさか、あんなに酔っ払って、過去の恋愛話を聞くことになるとは予想外だったが。


好きだった先輩と、友達に裏切られた、最悪の思い出が残る初恋。

今もそれを引きずって恋愛が出来ないだなんて話を聞いたら、同情よりもっと別の、強い気持ちが自然と湧いてきていた。

──俺が、彼女をその気にさせてやりたい。

そんな、使命感にも似た欲求が。


少し触れただけで、恥じらったり動揺する姿が可愛らしいから、いつも俺のイタズラ心がくすぐられるんだ。もっと困らせてやろうか、と。

だが、その日は意地悪が過ぎたようで、どうやら美玲ちゃんの思考回路はショートしてしまったらしい。

俺に肩を抱かれたまま、くにゃりと力が抜けた彼女は、すうっと眠りについてしまった。