ジャスミンさんは店の奥へ下がり、私もカウンター席へ戻ると、陽介と由香が心配そうな顔で口々に言う。


「みーちゃん、マシロってそんなに困ってたんだ」

「初耳だよ~! そうと知ってたら、タケちゃんのお弁当食べまくってたのに!」


あぁ、由香の食べっぷりならタケちゃんも儲かるし、お弁当の容器もかなり消費してもらえて一石二鳥になりそう。

なんて思いながら、ちょっぴり笑いをこぼして謝る。


「ごめん。でもそれも今日言おうと思ってたんだよ」

「そんなにヤバい状態なの?」


深刻そうな顔をして聞く陽介に、私は「そこまでじゃないよ」と安心させるように笑って言った。

お父さんも『すぐ潰れるってほどの赤字ではない』と言っていたし、私自身、働いていてちょっとした変化が現れているのを感じるから。


「店内を綺麗にしたらね、若い人も前より来るようになってきた気がするし、お父さんがいろんなとこに声掛けてくれたおかげで、取引先も少しだけど増えたの」


以前のままどんどん悪化していったとしたら、あっさりトワルに吸収されていたかもしれない。

でも、私達に抵抗する力はまだまだある。

このまま改善の兆しが見られれば、トワルに考えを変えてもらえるんじゃないだろうか。