「な、んで、そんな……」

「浅野さんがあまりにもあなたに目をかけているから、気に食わないんです」


さらっと包み隠さず言われ、私はまたぽかんとしてしまう。

それって、三木さんは私に嫉妬している、ってこと?

伏し目がちな彼女を上目遣いで見つめ、遠慮がちに確かめる。


「もしかして、三木さんは浅野さんのこと……?」

「愛していますよ」


あっさりと。ドレッシングをかけていないサラダくらいあっさりと返された。

あ、愛してるって……! こっちが恥ずかしくなっちゃうんですけど!


赤面しながら開いた口を塞げずにいると、三木さんの頬がうっすらと桃色に染まっていく。

あら、あららら? これは絶対、恋する乙女のカオだよね?

浅野さんを思い浮かべているのか、彼女は表情を珍しくうっとりとしたものに変化させて言う。


「有能なのにそれをひけらかさないし、威張りもしない。でも一切手は抜かず、自分の仕事ではないのに講習会の準備を手伝ってもくれる。優しくて、頼もしくて、その上あの整った容姿。惚れない女がどこにいるんですか?」


うっ、最後の部分だけ無表情に戻って言われた……。