「来月、珍しく希望休み取ってるだろ。第二金曜日だったか。もしかして……デ、デ、デェトじゃないのかなぁと」


次第にモジモジしだすお父さんに、私はがっくりとうなだれた。

何で休みを取っただけでデートだと思うのよ……。そんな相手はいないってこの前も言ったのに。


「お父さん、今の私に恋愛の話はしないで」

「何でだ? ……まさか、変な男にたぶらかされたんじゃないだろうな!?」


弾かれたように立ち上がるお父さんを気にせず、私は遠い目をしてため息をつく。

たぶらかされたわけじゃないけど、振り回されてはいるよね。あの腹黒王子に。


「似たようなモンかもねぇ……」

「は!? どどどういうことだ、美玲!」


ぼそりと呟いて立ち上がった私は、あわあわするお父さんをほったらかしにしたまま、のっそりと事務所を出た。


あの人に会いたくはないし、言いなりになっているみたいで嫌だけど、やっぱりラッピング講習会には参加することにした。

会費は気にしなくていいと言っていたし、タダで受講出来るならお得だと思うことにしよう!

なるべく前向きに考え、とにかく今はパートの二人に棚卸のやり方を教えねばと、気持ちを切り替えた笑顔で売り場に戻った。