まずは私がお父さんからやり方を教えてもらい、しっかり理解したところであとの二人にも私が教えることになった。

空いた時間に事務所へ入ると、お父さんとソファーに並んで座り、ペンを握りながら方法を頭に叩き込む。


「……なるほどー。帳簿の上で計算するだけなら、たしかにラクだね」

「あぁ。今までの実際に数える方法と両方やれば、適切に在庫管理が出来ているかわかるんだが、まだそこまで余裕はないからな」

「そっか。いずれそうしていけば、ロスも少なくなるんだろうね」


ふむふむと考えていると、以前浅野さんが“値下げはしないに越したことはない”と言っていたことを思い出した。

ロスをなくすということは、値下げ商品を出さないことにも繋がるよね……

って、何でまたあの人が出てきちゃうかな、まったく。


ふるふると頭を振って腹黒王子の残像を消し、隣で書類を整理するお父さんに問い掛ける。


「それにしても、お父さんこんな方法知ってたんだねぇ」

「あぁ……こういうことに詳しい人がいて、助言してくれたんだよ」


わずかに笑みを浮かべて言う彼に、私は「へぇー」と頷く。

そんな人がいたのか、と思いながらメモ帳をエプロンのポケットに入れていると、お父さんは少し真剣な表情になって言う。