「技術料はいくら?」

「あ、ラッピングだけならお代はいただいてないんです!」


財布を取り出した色男さんを手で制すると、彼はキョトンとしてこんなことを言う。


「へぇ……それはもったいない。宝の持ち腐れだな」


……うん?

宝の持ち腐れって、それはいい意味でとっていいのか、どうなのか……。

目をしばたたかせる私だけれど、彼は何も気にせず笑みを向ける。


「そうか、ありがとう」

「いえ。またいつでもご利用ください」


プレゼントを持とうとする彼に、袋に入れようか聞こうとすると、彼はそれをスッと私に差し出してきた。


「じゃあ、これは君に」

「……え?」


──わ、私に!?

予想もしていなかった言葉に、私は目が点になった。

驚きを隠せずにぽかんとしていると、謎の男性は足元に置いていたバッグを持ち、その場をあとにしようとする。


「その色、君によくお似合いだ」

「え、いや、あの……!」

「また来るよ。真白美玲ちゃん」


──ドクン、と心臓が動く。

どうして、私の名前を……?

美麗な笑みを残して身を翻す彼を、私は引き留めることも出来ずに見送るだけだった。