この人がこれを渡そうとしているのは、可愛らしさと爽やかさを備えた人なのかな。

彼女でも、奥さんでも、子供でも、きっと素敵な人なのだろう。


勝手にそんなことを考えながら、二枚の布を重ねて、クマさんのキャンディーを包んでいく。

布の端をギザギザに切り、それを寄せてリボンで縛る。そこに布と同じ色のローズの飾りを付けた。

最後に、リボンで縛った根元から布を広げると、花のようなボリュームのあるラッピングの出来上がりだ。



「──いいね。綺麗だ」


仕上がりを確認していると、間近で低く滑らかな声が響いて、また心臓が跳ねた。

ぱっと顔を上げると、彼も品物を覗き込んでいて、その近さに慌てて身体を引く。


『綺麗だ』って、自分に言われたわけでもないのに、何ドキッとしてるのよ私。

この人の声のせいかな。妙に色っぽいから……。


「い、いかがでしょうか?」


動揺を隠すように問い掛けると、彼は満足げに頷く。


「手際もいいし、色もアレンジの仕方もセンスがある。さすがだよ」


褒めちぎられて、なんだか恥ずかしくなりつつ、嬉しさと安堵感に包まれて笑みがこぼれた。