あれから数日が経って、私は泉さんにタオルと傘を返すべく校門の近くで待っていました。

ここ数日なかなか先輩に出会う機会がなかった私は、最終手段としてここで待ってるところなのです。

「遅いね。もう下校時刻過ぎてるのに」

「そうですね」

さっき望美と小早川さんが歩いて行くのが見えました。

でも泉さんだけまだ出て来ていません。

「もう……」

私は溜め息をついて校内へと戻る。

「佳絵羅? 何処に行くの?」

「直接渡しに行きます。いつ出て来るか分かりませんから」

泉さんが居ると思うところに私は向かいました。

「やっぱり……」

校庭の真ん中で泉さんはシュートの練習をしていました。

「まだ練習してたんだ」

「そうですね」

「どうする? 部室の前に置いてく?」

「いいえ」

私は石階段に座り込んで泉さんの様子を見る。

「ここで待ってます」

「いいの? これからピアノのお稽古なのに」

「構いません。ピアノのお稽古よりも、こちらの方が大切ですから」

私がそう言うとリンは私の肩の上に座る。

「じゃあ私も見てる」

泉さんは私に気づく様子はなくて、夜に星が輝き始める頃までシュートの練習をしていました。

「ふう……」