初恋を知った瞬間

「あれ? 君は確か……」

「えっ?」

この人は確か……。

「泉……さん?」

「覚えててくれたんだ」

泉恭也(いずみきょうや)さん──確かサッカー部のキャプテンの人だったはずです。

なぜここに居るのでしょうか?

「どこかに行っきた帰りなのですか?」

「近くのサッカー場で練習して来たんだ。雨が降ってきたから帰る途中なんだけど」

サッカーの練習ですか……。

「流石です。みなさんに慕われるのが分かる気がします」

「そうかな? それより君の名前まだ知らないんだよね」

「えっ? 言ってませんでしたっけ?」

「うん、聞いてないよ」

言ったことなかったかしら?

「では、改めまして。望美の従姉妹の絛佳絵羅と申します」

「そんなに畏まらなくていいよ」

「でも先輩ですから」

泉さんは少し照れたように、自分の髪をわしゃわしゃ掻き回した。