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「懐かしいことを思い出しました」

「何を思い出したんだ?」

帰り道、私と恭也は一緒に歩いて帰っていました。

「恭也が私に告白してきた日のことをです」

「あ〜……あの日か」

今となってはいい思い出になっています。

「付き合い始めて三年。あっという間だったな」

「そうですね」

高校生になってからも時間が経つのは早かった。

「それで恋については何か知れた?」

「はい。たくさん知ることが出来ました」

好きな人へ対する気持ち、悲しかったり、怒ったり、辛かったりと、色んな気持ちがあることを知れました。

「そういえば、恭也は高校を卒業したらどうするんですか?」

「俺はプロサッカー選手になるよ」

「サッカー選手?」

「サッカーが有名な大学から声が掛かっててさ、そこに行くつもり」

「そうですか……」

ではしばらく会えなくなりますね……。

「心配するな。遠距離恋愛を学ぶいい機会だろ」

「でも不安です」

「そうか? じゃあ不安をなくしてあげるよ」

「え?」

恭也は私を抱きしめて宣言しました。

「俺がサッカー日本代表選手に選ばれたら、その時は俺と結婚してください」

「わ、私なんかで良いんですか?!」

「ああ。佳絵羅が良いんだ」

恭也は優しい笑顔で言ってくれました。

「では……喜んで」

初恋を知ってから色んなことがありました。

喧嘩をしてお互い言い合ったり。

でもそれもまた恋の一部分。

それを乗り越えることで、新しいスタートが切れてお互いのことを知れる。

もっとお互い好きになれる。

そして私と恭也が結婚するお話は、ちょっと先のことです。