初恋を知った瞬間

「好きな人……ですか」

袋に入った布を抱えながら空を見上げる。

「どうしたの? いきなり」

私の隣で服の妖精のリンが心配そうに聞いてくる。

「なんでもないですよ」

私はリンに微笑み返し歩き出す。

「好きな人って言うんだから、好きな人でも出来たの?」

「そういう訳ではありません。私に好きな人なんて居ませんから」

リンは私に好きな人が出来ることを望んでいるみたいですけど、今は恋をする気はありません。

と言うより、恋というものを知らない私に、恋なんて出来るのかしら?

「佳絵羅、雨降ってくるかも」

「えっ?」

その言葉に私は再び空を見上げる。

さっきまで茜色に染まっていた空は見えなくなっていて、変わりに灰色の雲が空を覆ってた。

「確かに降りそうですね」

空に向かって手を挙げたとき、私の手の平にポツリと雨が一雫落ちた。