初恋を知った瞬間

「最後に一つだけいい?!」

「え?」

苅野さんの顔が近くなりました。

「最後にキスさせてください」

「……えええ?!」

き、キスさせてください?!

何を言ってるのでしょうかこの人!

「そ、そんなの無理に決まっています! 女の子にとってキスというのは好きな方とするもので──」

「君とキスが出来たら諦めるから!」

苅野さんは力強く私の手首を押さえつけて壁まで詰め寄る。

「いたっ!」

「すみません絛さん、でも我慢出来ないんです。あなたが可愛くて好き過ぎて仕方がないんです」

その可愛くてという言葉に恐怖を覚えました。

怖い……。

男の人ってみんなこうなのですか?!

咄嗟に泉さんの顔が浮かびました。

でも泉さんはそんなことしません……。

苅野さんの顔が私に近づく。

でもこの人とキスするなんてもっと嫌です!

私は思いっきり自分の頭を苅野さんにぶつけました。

「いったぁ!」

「いたた」

私はおでこをおさえて座り込みそうになりましたが、急いでその場から離れようとしました。

しかし──

「待って絛さん!」

苅野さんも慌てて私の手首を掴みました。

もうしつこいです!

恋する男の子がここまで肉食系になるとは、思っていませんでした。