初恋を知った瞬間

この人確か……。

誰だったかしら?

私は女の子の名前は早く覚える方ですが、男の子はあまり興味がなかったので覚えていません。

「か、苅野(かりの)さんだったかしら?」

「そ、そうです! 苅野忠雄(かりのただお)です! 実は絛さんにお話がありまして」

「私に?」

いったい何かしら?

「リンは先に行っててください」

「え、佳絵羅を一人には出来ないよ!」

「私なら大丈夫で」

きっと告白か何かでしょうから。

苅野さんに連れてこられたのは体育館の裏でした。

「あのお話なら直ぐに話してください。移動授業に遅れます」

「わ、分かってます!」

苅野さんはじっと私を見てくると大きな声で言いました。

「絛佳絵羅さん! 俺はあなたのことが好きです! 結婚を前提にお付き合いしてください!」

「け、結婚を前提に?!」

は、初めてそんなこと言われました。

でも結婚を前提にお付き合いするのはちょっと……。

「ご、ごめんなさい! あなたとはお付き合い出来ません」

「や、やっぱりですか……」

「そもそも結婚を前提にというのが無理です! 結婚なんてまだ先の話ですかは」

「ご、ごめんなさい」

苅野さんは深々と頭を下げた。

「話は以上ですね……? 私は先に戻ります」

そう言い踵を返した時、私は腕をつかまれました。