初恋を知った瞬間

お父様から目上の人には、礼儀正しく接しろと言われていたので、普段からそうしていたせいか、癖になってしまっているのです。

「でも凄いよ。癖になるってことは普段から心がけているってことだろ?」

「は、はい」

「君みたいに、普段色んなことを心がけている人は居るかもしれないけど、ずっと心がけることが出来る人は早々いないと思うよ」

「そ、そうですか?」

私から見たら泉さんもそう見えますけど。

「うん、君は凄いよ」

そのときの泉さんの笑顔に私は釘付けになりました。

「あの……一ついいですか?」

「なに?」

「泉さんって私のこと名前で呼んでくれませんよね?」

「え……?!」

図星をつかれたのか先輩の肩が上がった。

「そ、そうだったかな?」

「とぼけてるつもりですか?」

私は泉さんの顔をじっとみつめる。

泉さんは観念したのか一回息を吐くと、私を見て言いました。

「べ、別に深い意味はないんだけど、なんて言うか……呼べない?」

「えっ……」 

その時、私は自分の痛む胸に手を当てました。

「ご、誤解しないでよ! 君が嫌いとかじゃないくて…」

泉さんの言っていることは分かっていました。

でも、何故でしょう。

なぜこんなにも胸が痛くなるのでしょう?

「もしかして迷惑でしたか……?」

「いや、迷惑じゃないんだけど……」

泉さんは頬を赤らめてそっぽを向いた。