愛せない妻へ。



【旦那様の遥さんへ】


この手紙を読んでいるということは私の人生が終わったということなんですね。


私はどんな死に方をしたのでしょうか。

少し気になります。



遥さん、私はあなたと50年前、お見合いという形で夫婦となりました。


最初に謝らせて下さい。


私は最初から最後まであなたを愛していませんでした。


ごめんなさい。


私はずっと春時さんしか愛すことができませんでした。



遥さんは春時さんなどご存知ないでしょう。


春時さんは、私の隣の家に住んでいた所謂幼馴染みでした。


お年は遥さんと同い年で、8歳年下のあたしをいつも側で面倒みてくる優しい方でした。


そんな春時さんに私は小さな頃から恋心を抱いていました。


いつか春時さんのお嫁さんになりたい。


それが私の将来の夢でした。



でも、私の夢は叶うことはありませんでした。


何故なら春時さんは生まれつき体が弱く、20歳まで生きるのも難しいという難病をお持ちでした。



だからでしょう。



春時さんは優しい方でしたが、私がどれだけ気持ちを伝えても応えてはくれませんでした。



しかし、春時さんが死ぬ間際に言ってくれました。