震えた手でライターと灰皿を別の部屋から取ってくると、何枚にも及ぶ妻からの手紙に火を点けた。
徐々に手紙だった物が焼かれて灰になっていく。
灰皿の上に燃えて消えていく手紙を乗せると、妻の遺影に視線を向けた。
いつもの笑みで優しく微笑んでいる妻の遺影。
「完敗だ……」
なぁ、妻よ。
愛していなかったのはどっちだったんだろうな。
込み上げた気持ちが表に出る。
それは妻が死んでも溢れることがなかった透明のものが頬に一筋流れた。
「なぁ……妻の君は私を1度も愛してはくれなかったのか?」
一方通行だったこの気持ちを私はどう処理をすればいいんだ。
なぁ、妻よ。
若い頃、私は妻を愛していなかった。
けれど、
「私を愛してくれよ…」
愛していなかったのは妻の君だったんだな。
外が暗くなっても、叶うことのない感情に狂い、泣き叫ぶ声は止まらなかった。

