妻が何故笑うのかが理解できなかったので、微笑む妻に聞いた。
『何故笑うんだ?死が怖くないのか?』
妻の表情は変わらなかった。
『死ぬのは確かに怖いです。
でもそれ以上に嬉しいことがあるから』
『嬉しいこと?』
死んで嬉しいことがあるのか?
『今はまだ内緒です』
その後、妻は何も言わなかった。
病気は手の施しようもなく、妻は薬さえ服用しようとしなかった。
ただ自分の死期を待った。
だんだん体も弱り、毎日寝て暮らす様になった。
運命の日、
外は春が来たかのようにとても暖かく、晴れ晴れした天気だった。
『とても…良いお天気ね』
『あぁ…そうだな』
『ねぇ』
『なんだ』
妻の頬を撫でる。
妻はニッコリ微笑んだ。

