兄様は黒桜と橋を渡って帰っていった。
「お?波か。どうしたんだ?ここで」
『藤堂さん。ただ、空気吸ってただけですよ』
「そうか。
なぁ。あの女は?」
『知りません。
関係ないですから』
白桜を腰にさして無表情で言う。
『では、私はこれで』
「おぉ」
藤堂さんは心配しているみたいだけど、私はあいつに斬りつけられても死なないし、
なに言われても動じない。
物を使って自分の思い道理にするやつはただの弱虫。
あいつは、弱虫の中の弱虫だから。
私は別になんとも思わない。
『ひーじかーたさーん』
「もう帰ってきたのか?」
『帰ってこなかったほうがいいですかね?』
「…あぁ。ちと、今はな」
『ふぅん』