「もしかして、蒼と何かあったわけ?」
そう聞いてくる拓海は、あたしの幼馴染で、蒼くんの親友だ。
蒼くんと出会ったのも拓海の仲介があって。
「…あたしがエイプリルフールだから、蒼くんの気を引こうとして、他に好きな人ができたって嘘ついたの。
そしたら、蒼くんが別れようって」
そこまで言って、引っ込んだ涙が無意識のうちに出てくる。
「あちゃー。
それは蒼についちゃいけない嘘だな」
「…なん、」
「愛理っ!」
なんで。と聞こうとしたあたしの言葉を遮ったのは、
「…蒼くん」
あたしと拓海を見てから、自嘲的な笑みを浮かべた蒼くん。
「愛理の好きな人って拓海のことだったの?」
その言葉にハッとする。
あたしは今拓海に頭を撫でられてたんだ。
「っちが、」
「嘘つかなくていいよ。
本当は拓海のことが好きだったんでしょ?」
そう言って冷たい目で見てくる蒼くんに、言葉がつまる。

