「蒼くん蒼くん蒼くんあおっ、ぶふっ⁉︎」

「うるさい」

「だって蒼くんがこっち向いてくれないんだもん!」

「向く必要性を感じない」




この素っ気ない態度をとる人は、佐月蒼くん。

あたしの彼氏だ。



そして、蒼くんの彼女のあたしは、鈴木愛理。




付き合って1年は経つのに、未だに蒼くんがあたしを好きなのか自信がない。

と言うのも、蒼くんがいつも素っ気ないからだ。




今だって、前に座ってる蒼くんと顔見てお喋りしたいのに、蒼くんは嫌なのか参考書から顔を上げず、あたしの顔に教科書を押し付けてきた。