あたしはずっと、
先輩と手が繋ぎたかった。
キスとかそれ以上より、手が先だと思っていたから。
「…先輩、酸素不足です。
飲み物買いに行っても良いですか」
「…陽菜乃はいつになったら、俺のこと呼ぶわけ?」
「い、今は酸素不足で呼べません…」
「…まぁ良いや。
いつか必ず呼ばせてあげるから。
それまで…お仕置きが、必要かな?」
意地悪く、だけど優しく、先輩は笑う。
大好きだ、やっぱり。
何があっても、大好きだと言える。
この先、色々なことがあるだろう。
だけどあたしは、先輩のことを信じて生きたい。
心無い誰かによって、辛い思いもするかもしれない。
先輩って結構モテるからさ。
だけど、あたしは誰よりも、先輩の言うことを信じて行くんだ。
先輩のこの笑顔を、守れるように。
「ほら、行くよ陽菜乃」
「はいっ!…優志!」
「…………」
「…優志、どうしたの?」
「…いきなり呼ぶとか、陽菜乃、それ反則」
「えぇっ!?」
「飲み物買ったらお仕置きね!」
「そ、そんなっ!?」
大好きなキミの手を、
あたしはずっと、離さないから。
【END】