知りたくなかった本当の気持ち

今言われると思っていなかった彼は、さっきの私みたいな驚きをしている。


「いいよ。
待っていたから」


そして父さんみたいに、彼は優しく返してくれる。



一旦私は深呼吸をする。


心を落ち着けて。ちゃんと答えるんだ。



「私ね、若王子の事を思い出す時って。


大抵小学生の頃の事なの。


いつも私をいじめてるし、絶対逃がさないぞって目をする若王子。


私、もうあんな風に会いたくないんだ。



だからごめんなさい。


あなたとは付き合えません」



これが私の本音だ。


最後には少しだけ頭を下げた。



「だから、それは言ったろ?


好きだったけど、上手く接することができなかったからだって」