不意に思い出してしまう。


まさかこの返事を?


「俺、慣れない町に行ったもんだからさ...。


その、ここ、どこかわかんなくなってよ。


もし良かったら、この後用事無かったら、俺と一緒に帰ってくんね?」




      ...頼りない男だな。


そう思いながらも、私は拒否をしない。


「勝手についてくれば」


私はそう言って、電車に向かった。




『お前がいてくれて良かった』


『お前は私の大事な娘だよ』


どうして今思い出してしまったのだろう。


今、若王子と隣り合って座っている電車の中で...。

二人で揺られている電車で...。