⦅書斎の机の上に大きな茶封筒がある。


それを忘れてしまった。


すまんがそれを本社の私の部屋まで持って来てくれないか⦆



夏休みも終盤に迫った頃。


ようやく精神も落ち着いてきた時に、父さんが私に電話で頼んできた。



もう私には期待しないんじゃなかったっけ?


そう思ったけれど、私は父さんに反抗できない。


何でか理由がわからない。


私は仕方なくと思いながらも、父さんの頼みを受け、電車に揺られた。



本社までは電車で一時間前後。

意外と遠い。


だから父さんたちは行ったら、余裕が出来るまで家に帰ってこない。


移動時間が勿体ないみたいだ。




コンピュータグラフィックを大きな仕事とする父さんの会社。