胸に手を当て、冷静になるように深呼吸をする。
少しだけ調子を戻した私は、笑顔を振り撒き教室に向かうのであった。
「あたし......
やっとわかったかもしれない。
來奈が前に思い出の恋ばなをするの、拒んでいた理由」
1時間目の授業が始まる前に、ふとそう里桜に言われた。
私はなんて反応すればいいのかわからず、ただ彼女を見るだけだった。
それからというとものの今日の授業は、里桜の言葉が引っ掛かった。
里桜からしてみれば私を気遣っての言葉。
でも私は違う意味で捉えてしまうのだ。
帰りの時間が近づくにつれ、私は憂鬱になっていく。
自然とため息をついてしまっている。
「來奈、元気出してよ」


