驚いた。
神崎さんがそんなこと聞いてくると思ってなかったから。
だけど聞いただけ。
その後の言葉が無い。
「私の手料理、食べられる?」
恐る恐る聞いてみる。
私自身料理は今までちゃんとしたことなかったし、こうやって会って少ししかしない人に振る舞うのは、恥ずかしいものだ。
「俺も來奈ちゃんみたいに、プロの人が作った料理を食べてるだろ?
お互いその味に慣れてさ。
だからこのご飯は、それに劣ってる。
たまにはこういうもんもいいかもな」
丁寧に説明してくれたけど。
けなされた部分もあったから、正直喜びたいのに喜べない。
「食べられないほどじゃなくて良かった」
だから私は小さな声でこう呟いたのだ。


