「そんな不純な理由で離すわけねぇよ」 ...え? どうした、若王子。 顔赤くなってるし。 かと思えば離されたし。 「冗談冗談。 顔、あけぇぞ」 私はこの時、神崎さんの事を思い出す。 彼は若王子と違って余裕だったな。 それに対して若王子は、平静に振る舞うだけでいっぱいいっぱいって感じ。 大人の魅力を見せつけられる方が、キュンと来るかも。 「し、仕方ないの!」 じらい踏んだかと思ったけど、相手は食いついてこなかった。 それに安心した私は、さっさと家の方に向かうことにした。