あの時怖かったアイツが、私に頭を下げて謝ってくれている。
私が戸惑っていると、彼は私の頭を優しく撫でた。
いつもの私なら必ず、そんな相手の手を振り払っていた。
それなのに今はそうできないでいる。
今までの事と、一新されたことが私の中で葛藤している。
そんな私を彼は優しく見守ってくれる。
私は自分を制御できない。
「本当だ...。
あの頃と若王子は違うんだ。
〖俺は王子様なんだから、誰の命令も聞かない!
よし來奈、お前は俺の家来になれ〗
そんな憎々しい頃の若王子はもういないんだね」
私は辛かった思い出を振り返ると、涙を溢れさせていた。


