知りたくなかった本当の気持ち

 神崎さんと二人っきりになる。

彼にとって初めて来るこの場所。


私まで勝手にこの部屋を出たら、彼の居場所が無くなってしまう。


だから私は母さんによって閉められたドアを見て溜め息を吐くと、さっきまで座っていた位置に戻った。



「...すいません、お見苦しい所をお見せしてしまいました。


父さんからも聞いたと思いますが、改めて言わせてもらいます。



秦野來奈です。

高校2年生です、よろしくお願いします」



仕切り直しに私は彼に自己紹介をした。



こんな状況は初めてなので、どうすればいいのかわからない。



「こちらこそお願いします」


私が礼をして、相手も返すようにお辞儀をした。




それからこの場が沈黙する。



実際私はこの人と付き合う気はない。




最初はそう思った。