良かった。
今回の涙はすぐに引いた。
私は先にさっきの所に戻って、カバンを肩に掛けようとした。
だけどその肩に掛からず、カバンの紐は若王子の手に載った。
「なに我慢してんだよ」
...何で若王子は...こんな時、低音の声を響かせるの。
印象づいちゃうじゃん。
彼は乱暴に私のカバンを引き離すとその場に捨て、私の両肩を手で圧迫した。
彼の圧迫する力が強すぎて、今にでも負けて地面をクッションにして倒れそうだ。
「痛いよ...」
「なぁ、答えろよ。
何を泣いてたんだよ」
ヤバいよ。
若王子が真剣だ。
何で?
私別に気に障ることしてないよ。
「やめて...。
怖いよ」


