私は今ごろそれを思いだし、いつの間にかその場に座り込んでしまった。
あまりの無力さを思い知らされ、まばたきするのも忘れている。
「どうしたんだよ」
慌ててるのか、冷静なのかよくわからない若王子。
絶対これは、演技だ。
コイツも私と同じ事を思い出したはずだ。
私がどんなに悲しんだかも知らないで、こんなに何も無かったように演技して...。
私はそれが許せず、涙を催してしまった。
そんなのがコイツにばれたら最悪。
だけど両手を押さえることしかできない。
「お、おい!?」
ヤバいと思ったのか、彼は私の元に近づいて座ってくる。
そこは...変わったんだね。
「な、何でもない!!
ただ思い出してただけ。
さ、もう帰ろう!」


