知りたくなかった本当の気持ち

なんてたって、この気晴らしをする必要を作った原因は、コイツにあったんだから。


若王子に嫌がらせされ、何度ここに来たことか。



............あれ?


「ねぇ...」


「なんだよ」


若王子も私のように寝転ぶ。


一瞬だけ隣に風馬くんがいるように錯覚させられた。



起き上がり、そんなことはないと思い私は彼に質問した。



「ここ、初めてじゃないよね」


そうだよ。コイツ、ここに来たの初めてじゃない。



私は走り出した。


左側の方にある橋の下の少し暗い川沿いまで。



そうだよ...。

この壁...。



あの時...怖くてたまらなかったんだ。



若王子の目が...今にでも私を貶めてやるみたいな感じで...。



身動きが取れないくらいに、この壁に私を押し付けて。