珍しく文句を言わないで、私は若王子の言うことを聞いた。
「ここ」
それからスタスタ歩いて着いた、私のお気に入りの土手。
「へぇー。
普通じゃん」
そんな彼の言葉に不満になり、私は先に下りていく。
カバンを放り投げ、そのまま座り込んで空気を大きく吸う。
やっぱりいつ来てもいい所だ。
格好つけながらカバンを肩にかけて下りてくる彼。
私は特に何も言わなかった。
「いい所でしょ。
私、この川好きなんだ」
「それ、あいつにも言ったのか?」
隣に来た若王子は、私と同じように座った。
「何で?
いいじゃん別に、風磨君と何話してたかなんて」


