すぐに思い浮かばなかったから、聞き返してみる。
すると少しだけ若王子の表情が鋭くなった。
「俺に言わせる気か」
......めんどくさい人だ。
それくらい言ってくれたっていいじゃん。
だけど彼の不満そうな顔を見ると、誰か予測できた。
風磨君のことだ。
「あぁ。 風磨君ね。
私のお気に入りの土手。
それがどうしたの」
「俺もそこに行きたい」
なぜ帰り道に風磨君と寄った土手に行きたいと思うのか、この男は。
「何?ただ単に土手に行きたいの?
なら別に他の所でもいいじゃん?」
若王子の考えることが納得できない私は、提案する。
それに不機嫌になる彼は、扱いにくい。