そう言うと、私たちは店の敷地内を出た。
行きと同じで、帰りも風磨君は自転車を押し、私は歩いた。
「......秦野の家、誰もいないのか?」
途切れ途切れの会話が続いていた時、風磨君は話をこう切り替えた。
「うん。昨日からね。
でもまたちょっとしたら皆帰ってくるし。
慣れてるよ」
「でもやっぱり...寂しいんじゃないの?」
何で突然...風磨君はそんな哀しそうな表情をするの。
「...大丈夫。
皆いたって、同じだから。
しばらく一人の時間を満喫しとくよ」
そう。家族揃ったって、私は特にあてにされない。
将来有望だとされてる兄さんの方が...
「家族から...無視されてるとか?」
直球過ぎるよ、風磨君。


