ん?お前こんなん買うのかよ」
謝る気の無い彼は、私が買おうと手にしていたオシャレなヘアゴムを取った。
「いいじゃん。
私が何を買ったって。
返してよ!」
私が必死に取り返そうとすると、若王子は手を上に伸ばして私の手に渡らないようにする。
届かないとわかってるけど、私は頑張って背伸びをして右手を伸ばす。
「お前に買われるとか、このゴムが可哀想」
そんなこと言ってるくせに、若王子はヘアゴムを持ってる右手でホレホレと言わんばかりに、上下させている。
一生懸命手を伸ばしてる私は、ある恥ずかしいことに気づいた。
動くごとに私の胸が、アイツの胸に当たってる...。
そうわかるとつい私は、胸をかばって若王子から離れた。


