「なによ!なんなのよこれっ!?
さっきまでは何ともなかったじゃない!!」
今すぐ吐き出したい気持ちを抑えて、必死に走る。
下に降りたり上にのぼったり、迫ってくる恐怖から逃れようと滅茶苦茶に走り回る。
前方に長い髪の毛をした女の子が見える。
ここあだ。
良かった。知ってる人がいる。
私は一人じゃない。良かった………
「ここあ………っひっ!?」
違う。ここあじゃない。
そういえばここあは髪の毛を結んでいたはず。
なのに、なんで気付かなかったんだろう。
なんで、あいつが……佐久間が振り向くまで、気付かなかったの………!?
「さく…佐久間……っ!?
なんであんた、生きて…っ」
そこまで言って、ハッとする。
さっき見た幽霊。
今目の前にいる佐久間。
……………同類?
「………明美」
ぽつりと呟いたその声は、やっぱり佐久間だ。
だとしたらヤバい。
佐久間をいじめていたのは私達…これは、復讐だって言うんじゃないの?
こんな状況下に似合わないくらい頭がフル回転する。
それに反して、体は硬直してピクリとも動かない。
「私をいじめた…明美」
「や、やめて………」
ゆっくり、静かに近付いてくる佐久間。
かくん、と膝の力が抜けて、立っていられなくなってしまった。
残るのは、ぽろぽろと流れる涙だけ。



