偶然にも、翔太さんは私と同じ関西出身だった。


バイト仲間の中で関西方面から来ているのは、2人だけだった。



なかなかみんなと馴染めなかった私を、みんなの輪の中に入れてくれたのも翔太さんだった。



毎晩、みんなで海岸で花火をしたり、宴会をした。


夢のような毎日だった。




テレビなんて見る暇もない。



テレビを見るくらいなら、この綺麗な海を見ていたい。


この素敵な仲間達と走り回っていたい。





民宿が経営する食堂で昼間は忙しく働いた。



時々、民宿の手伝いもしたが、

部屋の掃除やふとんの用意をしていると、暑さで倒れそうだった。



翔太さんは、民宿のオーナーに気に入られていた。


時々夜に連れ出される翔太さんを、寂しい気持ちで見ていた。




「未成年はもう寝なさい!」



翔太さんは、そう言って、オーナーと2人で居酒屋に出かけた。