ザザザザ――




翔太さんの隣に座ると、足がすぐに濡れた。




「気持ちええやろ。俺、夜の海好きやねん。落ち着くよな!」



翔太さんは、少し無理しているのか明るい声を出した。




「無理しないでいいですよ。泣きたいなら泣いてください・・・」





アホかって頭を叩かれるかと思った。




違った。




翔太さんは、本当に涙を流した。





男の人の涙を見るのも初めてだった。


好きな人が隣で泣いているのに、その涙を止める方法がわからない。




私は、静かに涙を流す翔太さんの頭にそっと手を乗せた。


そして、その手をゆっくりと動かし、そっと撫でた。