引き返そうか。



私は、翔太さんの横顔を目に焼き付けた。





そして、声をかけずにまた逆の方向へと歩き出した。




「誰やぁ!? こっち来いや!瑠奈!」




気付かれた。




静かな夜の海は、私の足音を隠してはくれなかった。






「ごめんなさい。邪魔してすいません。」




「ええで。ちょっと泣きそうやったから、誰かおった方がええねん。なんてな…」




冗談だと笑い飛ばせる雰囲気じゃなかった。


本当なんじゃないかって思った。