「深影!あんた家隣なんやけん鏡華と一緒に行っちゃらんな!」
ズンズンと先に行ってしまう深影はちょっと不機嫌にも見える。
私なんか怒らせるようなことしたっけ?
工藤くんと手繋いでたこと?
そんなわけないよね。
もう風香と工藤くんとわかれる道だし、一緒に帰りたいな。
そう思っていると、背を向けたまま深影が足を止めた。
「なんなん、あいつ訳わからんな」
「2人のせいだと思うけど」
工藤くんがため息をつくけれど、意味がわからない。
私だけならまだしも、風香も?
なんで?
「風呂ん中で話してたの全部聞こえてたから」
じゃあ、と路地の曲がり角に消えていく工藤くん。
え…今なんて言った?
全部聞こえてた…って…
「あーまたやらかしたわ。ごめんな鏡華。あそこ声が響くんよ」
「いやいやいやいや、風香何言ってんの」
しまったって顔しなくていいよ!
それより…え?
聞こえてたってことは私が言ったことも全部だよね。



