ずっと隣は静かだったけれど、もう出てるのかな?
ヒョイ、と顔を出すと番台の下のベンチに腰掛ける深影と目が合う。
「っ…」
ドキッとした。
だって…髪濡れたままだし、肌綺麗だし…
思わず見惚れていると数秒で先に視線を外される。
お風呂上がりだからか微かに赤い頬。
男の子のお風呂上がりって見るの初めてかも。
深影の隣に座る工藤くんはしっかり髪を乾かしていて
濡れた時に張り付いた髪といい、今のふわふわの髪といい…
やっぱりなんか、可愛い。
「おばちゃん、まだ?」
なぜか視線を合わせようとしない深影が番台を仰ぐと、ちょうどのタイミングで紙袋が差し出される。
「またおいで」
人の良さそうな笑顔で見送られて、外に出ると、思った通り雨はすっかり上がっていた。



