悔しいのに、やっぱり好き。


明日の夜には深影の顔が見られないんだって思うと、切ないくらいに胸が疼いた。


美里さんが頭の中をちらついて、追い払うように深影に抱き着いた。


さっきから私が深影を抱きしめる体勢ばかりだったからね。


こっちの方が落ち着く。


「いっぱい連絡するね」


「ん」


「…あと、美里さんの…」


どうしよう、言っちゃっていいのかな。


でも…不安だし。


「俺、一途やけん。大丈夫」


ずるいよ、深影は。


前に言ってたことと違う。


不意打ちで欲しかった言葉をもらえて、ザワザワと落ち着かなかった思考の糸が解けていくみたい。


「ずっと、好きだから」


待ってる、って耳元で囁かれたかと思うと、背中に回されていた手が視界の端を掠めて、私の頬を持ち上げる。


真っ直ぐで、夜空みたいに深く黒い双眸が私だけを映している。


真剣に見入っているうちに、深影がふっと笑った。


近付いてくる瞳が伏せられるのを見届けて


「…ん」


唇に触れた温もりに、目尻から涙が伝った。