確実なものなんて何もない。


私も深影も時々自分のことでいっぱいいっぱいになるから、離れるほどに見えなくなることも増える。


埋められないものだってあるかもしれないし、不安も拭い切れていない。


けれど、美里さんの気持ちには応えたいと思った。


私にしかできないことがあって、それを美里さんが託してくれるのなら。


「ほんっと…憎めんよなぁ」


長い息を吐き出して苦笑いをする美里さん。


「へ…?」


「いい?鏡華」


ぽかんとする私に詰め寄って、意地悪げな笑みを浮かべるとびしっと人差し指を突き付ける。


「あんたがおらんってことは、うちのチャンスってことやけんな。遠慮はせん。わかった?」


「えっ!?」


チャンスって…!


何か言い返さないと美里さんの思うつぼなのに、言葉が何も出てこない。


「風香とか幸久とか、かったいガードはあるけど、まあ大丈夫」


「大丈夫じゃないよ!ダメだからね!」


「それは深影が決めることやろ」


そ、そうだけれどさ…


校舎裏で深影に言われたことが一気に頭の中を駆け回る。


頑張ろう…深影にずっと好きでいてもらえるように。


ただの意地悪であんな言い方をしたのかもしれないけれど、美里さんがこんなだと余計に不安だから。


空が暗くなるまで公園のベンチで美里さんと言い合って、帰り着く頃には日が暮れきっていた。